「父上、お船が待ってるみたい。早く行きましょう」
「……珊瑚。先に行ってくれ。父にはまだやらなければならぬ事がある」
「えーっ、そんなのいや。珊瑚は父上と一緒にお船に乗るの」
「はっはっは、それは父も同じだ。必ず行くから先にシップに乗っていなさい――それより、珊瑚よ。昨夜申した件、覚えておるな」
「え……はい」
「我が水に棲む者の『凍土の怒り』と『大陸移動の秘法』、お前はこの二つを後世に伝えていかねばならない。わかるな」
「……」
「もちろん、お前の代で凍土の怒りの力を引き出せる戦士と大陸移動の秘法を使いこなせる賢者が同時に現れるのであれば、話は別だ。その時こそ我らが銀河の覇権を唱える機会。思う存分に力を奮うがよい。お前の力を持ってすれば、おそらく大陸移動の秘法を使うのは可能だろう。後は凍土の怒りだが――残念な事に未だかつてその剣の真の力を引き出せた者はいない」
「……わらわが秘法を?」
「誇り高き水に棲む者の女王として常に心して行動するのだぞ」
「そんな……父上。もう会えなくなるみたいな事言わないで」
「大丈夫だ。父はお前とともにある。何かあったらムルリに相談するのだ――さあ、父にもう一度その笑顔を見せてくれ」
別ウインドウが開きます |